Top 】 【 各種レポート 】 【 ライブレポート

written by ちゃぶー
 今回のライブ参戦も私にとっては本日が最後となった。倉敷市民会館。岡山県在住の私としては,「地元」でのライブということになる。

私の席は中央やや左寄りの前から3列目。しかも右側が通路になっているという絶好のポジション。目の前に視界が大きく開ける。

 開演は18:32頃,予定通りだ。セットリストは神戸と同じ。「Time after time」の歌声とともに麻衣さんが中央一段高いところへせりあがってくる。この一週間で3度目のライブとなるために,身体が曲順を覚えてきた。

 どうなるだろうと心配していたが,この日はこの曲から観客が総立ちとなった。すばらしい歌唱。目の前3mのところで,麻衣さんが歌っている。息遣いまで聴こえてきそうな距離だ。ただ,後ろの観客がうるさい。タイミングも計らずに「麻衣,麻衣!」と曲の途中にもかかわらず甲高い声で叫び続ける。非常に不愉快。ライブ来たことがあるのか!?しかし,麻衣さんの歌声はそんな雑音もかき消してしまう。私の視線は麻衣さんから一瞬たりとて離れることは出来ない。今日ばかりはexperienceもKuremi&TENも,ほとんど目に入らなかった。美しかった。魂が吸い取られるほどに。

 「Love, Day After Tomorrow」のイントロが流れ,麻衣さんが上着を着替える。白のジャケットから例のジャンパーに。そして,"LOVE!" 麻衣さんの歌声に合わせて,天高く両手でLOVEサインを作り突き上げる。技巧を凝らすことなく素直に歌い上げる。心がえぐられる。言葉がダイレクトにハートに突き刺さる。しかし,息つくまもなく「Secret of my heart」の歌声が・・・。天使の声を聞くことができるなら,私は今夜それを聞いた。歌詞がスクリーンに映る。言葉の一つ一つが美しい。
 そして次の曲のイントロが・・・。あぁ,今夜はこの曲をやってくれるのかい,麻衣さん。「Can't forget your love」を・・・。すばらしい歌声,ファルセットが輝く。ただこの曲の前半は手拍子はいらないんじゃないかな?観客の皆さん。もっと静かに聴こうよ。盛り上がる瞬間はやってくるんだから。そして後半はロック調になり我々をぐいぐいと引っ張っていく。歌詞間違えたことなんか気にしないよ。ね,麻衣さん。意地悪だね,字幕って。

「倉敷のみなさん,こんばんは。今日は最後まで一緒に楽しんでくださーい。」

 続いて「風のららら」。ヒット曲が続く。この頃から私は通路側にいるのをいいことに通路に立ち少しずつ前に・・・。ほぼ2列目の客と肩を並べるようにして麻衣さんの歌声を堪能する。距離にして,近いときには2m。MCのときはマイクを通さない生の声さえ聞こえてくる距離だ。

 続いて,中央階段上部に腰掛けた麻衣さんが歌いだすのが,「mi crazon」。手拍子を要求しながら切々と歌い上げる。神戸国際ホールに比べてステージの奥行きが狭いような気がして,逆に麻衣さんを手前に感じることが出来る。

「そう,去年倉敷に一度来て,また今年もここ倉敷に来れて,すごくうれしいです。ちょうど去年は美観地区に行ってきて,そこでお団子を食べたり,倉敷の町を歩いていろんな人に出会って,写真を撮ったりしてすごい倉敷って情緒がある場所だなぁと思いました。え,今日ここに来るときに道路にお花がたくさん咲いていて,なんかお花が私を迎えてくれている,そして,あの,看板とか標識に倉敷ってこう書いてあるの,あるんですけれども,なんかそういうのが目に飛び込んできて,「倉」って聞くと,あっ,なんか私を出迎えてくれているのかなぁっみたいなこと思いながらここに来たんですけれども,今日は最後まで皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいと思います。よろしくお願いしまーす。」

 そして「Tonight, I feel close to you」。今日は座ってくださいって言わなかったね。編曲は他の会場と同じ。2番でジェフリーが絡む。広島や神戸ではギターアンプに座っているように見えたが,今日になって,ちゃんとストールが用意されているのが分かる。ただ,この曲にも手拍子はいらなかったのではないかと思うけど?観客の皆さん。

 「The ROSE〜〜melody in the sky〜」は驚きだった。さすがに観客は静かに聞き惚れる。天から降りそそぐきらめくダイアモンドのかけら・・・。私の聞きどころは一点。"Do you hear my voice ?"の"voice"の部分。ここをどれだけ輝かせてくれるだろうか?広島では,あまり輝きを持たせずさらりと歌った。神戸では,やや歌声をたなびかせながら,きらりと一瞬のきらめきが。そして,倉敷では・・・。正直言って,私は泣きそうになった。今日の"voice ?"の声は今までのどこでもなかったほどきらめきを持ち,羽があるかのようにホールを舞った。まさか,麻衣さん・・・このBlog読んでくれていたわけじゃないでしょ?・・・そう妄想してしまうほどのパフォーマンス。麻衣さん,ありがとう。このたった一つのwordだけでも,今夜は忘れられない一夜になったよ。

 そして,上着を脱いで「PERFECT CRIME」。広島や神戸では気がつかなかったが,例の片肌抜いた長袖Tシャツの胸元にはスパンコールの飾りがついている。そういえばただの黒色だと思っていたパンツにもきらきらとスパンコールが織り込まれている。ここまで近いと,麻衣さんのすべてが見えるようだ。顔の表情も,眉毛や目や鼻や肩や腰や・・・。一つ一つのパーツが一体となって倉木麻衣という総合芸術を構成していることが分かる。
 今回もDJは登場した。ダンサーも激しく踊る。しかし,私の目はやはりMai-Kから一瞬も離れることはない。貪欲なまでにこの至福の瞬間瞬間を味わっている。

 曲は「NEVER GONNA GIVE YOU UP」。観客も麻衣さんとともに振りを行っているようだが,もちろん私はまわりを確認する余裕などない。そして,「Stepping ∞ Out」を歌い上げると麻衣さんは舞台から消える。

 いつものようにマイケル=ジャクソンの「BLACK & WHITE」に乗せてジェフリーがメンバーの紹介をする。上機嫌のジェフリー。メンバー紹介が終わる。そして聴こえてくるのは「I don't wanna lose you」

 一瞬目を疑った。前日までと衣装が変わった。尼崎からのレポートを読んでみても,今まではここからの衣装は,私が広島と神戸で目にしたものと同じだったようだ。赤いタンクトップの上に,ボロボロに千切れたような穴が開いた白いタンクトップの重ね着。しかし今回は,奇しくもMai-K.netで麻衣さん自身が写真付きで紹介している,黄色の首まで詰まったタンクトップ(胸にARMY,AIR FORCEの文字)の上に白のメッシュのタンクトップの重ね着。前回までの「小悪魔的」なムードから今回はユニセックス風にスポーティになった。

 曲は「key to my heart」へと続く。きらめくボーカル。ボーイッシュでありながらところどころにコケティッシュな表情を挟み込み,ファンを完璧に魅了し続ける。1コーラスのみの「Delicious Way」に続き,「Come on! Come on!」では「評判の」ダンスを披露・・・。といってもまぁ,「振り」の範疇か。「Everything's All Right」「Brand New Day」とノリのいい曲が続く,麻衣さんはしばしばジャンプして曲のクローズを指示するが,今日はとても機嫌がよさそう。アクションが大きい。途中で,コケて見せるような演出もあった。

 そして,終わりが近づいてくる。「Stand Up」。この曲は平安神宮のときのように,もう少し会場とのコミュニケーションを加味してほしかったなと思うのは贅沢な要求。麻衣さんはきちんと一緒に歌おうと呼びかけてくれるが,途中一階席へ指示を出すタイミングが遅れ,声がそろわなかったのを見ると,「もう一回」と再起を期す。一階席,二階席そしてみんなで,力の限りStand up!

 最後はやっぱり「Feel fine!」。激しく,そして元気いっぱいに歌い上げ,麻衣さんは,ありがとーと袖へ消えた。

 今回は比較的早くMai-Kコールが始まる。相変わらず後ろの客が無茶苦茶うるさい。何考えてるんだ!ムードぶち壊し!どっ行け!しかし,麻衣さんが出てくるまでにそれほど時間はかからなかった。

 青いツアーグッズのTシャツに,いつものように変形マイケーヘア。髪を止めるゴムの色も神戸のように赤いシャツのときは赤いゴム,青いシャツには紺のゴムと,細かいところにも気を遣っている。

「アンコールありがとうございます。えっとそれじゃあ5月19日にリリース予定の新曲,明日へ架ける橋を聞いてください。」

 「明日へ架ける橋」・・・歌詞を間違えまいと神経を集中しているのがよく分かる。でも・・・,あ,やっぱり間違えちゃったね。(^_^;)・・・一瞬,「あ,しまった。ごめんなさい!」という表情を見せるも,最後まで気丈に歌い上げた。天にまで届く歌声。きっとヒットする。いや,させなければ。そう心に誓う名曲。

「ちょうど去年のライブから,今年"Wish You The Best〜Grow, Step by Step"このタイトルは,会場に来てくれてる皆さんと一緒にライブを通して一歩ずつ成長していけたらなという気持ちを込めてタイトルつけてみて,今年でちょうど5年目を迎えることが出来ました。5年間というのは・・っとあっという間だなぁという気がして,時間が経つのっていうのはすごく速いんですけれども,ただ流されるだけじゃなくて,一歩一歩前進して,ステキな思い出を作ったりしながら,成長できたらなっていうふうに思います。そんな気持ちを込めて「Stay by my side」をお聞きください。」

 そして,「Stay by my side」。静かにアカペラで,そしてしっとりと歌い上げる天上の響き。今2,000人の愛を一点に集め,その中心で青いツアーTシャツ姿の歌姫が歌う。今日私は,彼女と同じTシャツを着てきたことを心より誇りに思った。

 最後は当然「always」。倉敷市民会館に集った2,000人の心がひとつになる。2,000の愛の重さをしっかりと感じながら歌い続ける"always give my love to you..." ・・・終わらないで。まだ終わらないで・・・。しかし時は過ぎ,最後のときがやってきた。ありがとう・・・ありがとう・・・。そしてその人は去っていった。

 しかし,倉敷市民会館に集ったほとんどの観客は次に起こることを知らない。そう,彼女は帰ってきたのだ。私はこの宇宙一美しい美のエッセンスが発するオーラに打ちのめされた。もうこのまま死んでもいい・・・。中学生でもあるまいに・・・と思いながら,私の心は完全な少年だった。

「今日はどうも皆さん最後までありがとうございました。○×△・・・それでは気をつけてお帰りください・・・・。」

 40何年も生きていれば,人生には何回か時代を画する瞬間がある。・・・おそらく,今がそのとき。

Can't forget your love, Mai-K